需要予測とは
〜活用シーンとAI(人工知能)システムの課題〜

現代の企業活動において、商品・サービスの需要予測は必要不可欠な要素となっており、さまざまな企業がAI(人工知能)を用いた需要予測システムの導入を実践し、着実に成果を上げています。

既にWebやその他の媒体で需要予測の導入実績が多く紹介されていますが、これから需要予測の導入をご検討される方の中には、「そもそも需要予測とは何なのか?」をお知りになりたい方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

本稿では、需要予測の基礎的な考え方について、整理してご紹介します。

 

需要予測とは

対象の商品・サービスについて、将来的な需要(≒いつ、どのくらい売れるか)を過去のデータから予測する取り組みを、需要予測と呼びます。
需要予測の歴史は古く、1990年代頃には製造業を中心にSCM(supply chain management)の一環として導入が開始されており、現在では小売業や流通業など、様々な分野へ応用が広がっています。
昨今ではAIや統計学を用いた需要予測システムのサービスがさまざまな会社から提供されており、需要予測の省力化・自動化が大きなテーマとして盛り上がっています。

 

なぜ需要予測が必要なのか?

需要予測の本質的な目的は、「消費者(市場)が製品・サービスを必要とするタイミング・量を予測し、適切に供給する」事にあります。
より金額に直結した表現に置き換えると、以下2点を防ぐことが目的となります。

1.  在庫切れ(≒ 売上機会の損失)
2. 過剰生産(≒ 過剰在庫や廃棄ロスの発生)

上記2点を防ぐことで得られるのは金銭的な利益だけではなく、
商品を求めるユーザーに遅延なく商品をお届けする事で、「顧客満足度の向上≒ブランド価値の維持・向上」にも繋がります。
エンドユーザー側の需要に合わせて企業側の製品供給を最適化させ、互いの利益が両立した状態を維持する事こそ、需要予測の活用によって得られる成果の最たるものと言えるでしょう。

では、需要予測をデータ分析やAIによって省力化・自動化する取り組みには、どのような意味があるのでしょうか?
ここでは、以下2点のメリットを紹介します。

① 予測の再現性確保、属人化の排除

AIによる需要予測が導入されていない現場では、熟練の担当者の感覚や経験に基づいた予測が頼りにされる場合があります。
こうした職人芸のような予測は、予測精度においてAIに劣るわけではなく、むしろ適切に設計されていないAIに比べると遥かに勝る場合が往々にしてあるのですが、業務構造として以下のリスクを抱えています。

 -  担当者の体調・気分が予測結果に影響する → 再現性が低い場合がある
 -  担当者不在時に適切な予測ができない → 属人化している

AIを用いたシステムで需要予測を自動化し、予測の品質を人ではなくモデルに紐付ける事によって、これらのリスクは回避できます。

また、AIを導入したからと言って熟練担当者の知識が不要になるわけではありません。
AIが高い精度の予測を行うためには、AIに入力するデータの加工やモデルの選定など、人が手を加えるべき部分が多く存在します。
この時、熟練者の感覚・経験を適切にヒアリングし、モデルへ組み込む事が出来れば、職人芸をカバーしたより高品質なモデルを作成する事ができます。
属人化していた知恵を吸い上げて共通化し、熟練の予測担当者が複数名存在する場合はそれらの知恵を集約&高度化できるのも、需要予測をAI化する利点の一つと言えるでしょう。

② 担当者の負荷軽減、時間単価のコスト削減

需要予測が属人化している場合、特定の担当者が予測を行う事になりますが、当然ながらその負荷は当人に集中します。
予測を行う頻度が少なければ良いのですが、例えばコンビニのような業態の小売店だと、翌日の売れ行きを予測して発注を行うプロセスは毎日発生するため、判断〜発注にかかる時間が1時間だとしたら、月に1時間 * 30 = 30時間の業務が発生している事になります。また、予測を外す事に対するプレッシャーは多かれ少なかれ発生するため、心理的負荷の増大も見逃せないところです。
AIによる需要予測を導入することで、これらの時間コストや労力を単純に削減できるだけでなく、予測を外すプレッシャーをモデルが肩代わりする事で、担当者の心理的負荷の軽減につながります。

 

需要予測の活用シーン

需要予測が用いられる具体的なケースとして、以下の例が挙げられます。

① 製造業:  需要予測に基づいた生産量調整

 -  製品の売上数を予測し、それに基づいて生産量を調整します。
 -  データに基づいて生産計画を議論する取り組みは従来から行われていますが、リードタイムの短縮や多品種生産への移行に伴い、より多数の製品について高速なサイクルで予測を行うために、AIによる予測が用いられます。

② 小売店(コンビニ等): 店舗毎の商品別売上予測に基づいた発注量調整

 -  商品別に売上数を予測し、それに基づいて発注数を決定します。
 -  発注業務は全ての店舗で毎日発生するため、AIによる自動化を導入する事で、単純に店舗数 × 時間単価 のコスト削減が見込めます。

③ 流通業: 出荷商品数予測に基づいたトラック台数最適化

 -  トラックに乗せる商品数を予測し、それに基づいて手配するトラックの台数を決定します。
 -  トラックの配送経路の最適化にもAIが用いられる場合があり、複数のAIを組み合わせる事で、得られる効果を最大化できます。

 

需要予測AIシステムの課題

AIによる需要予測は過去のデータを予測の根拠として用いるため、データに含まれない事象や大幅な外れ値が発生した場合、予測精度が低下する場合があります。

 -  データに含まれない要因で結果が変化する場合(入力データの情報不足)
 -  外れ値(異常値)が含まれる場合
 -  予測不可能なイレギュラーが発生した場合(例: リーマンショック、コロナ禍による市場の変動)

需要予測をシステム化する上で重要なのは、使用者側が上記のリスクを認識し、システムを盲信せず適切に管理する意識を持つ事です。
すなわち、予測精度を定期的に監視しつつ入力データを適切に管理し、異常値に関する処理を一定のポリシーで行いつつ、イレギュラーな社会情勢の変化があった場合は、例えば状況変動後のデータのみを入力データとする、入力値として状況変動のフラグを入れる、等の対応を議論し、適切な対処を行う必要があります。

このように、AIによる需要予測はツールを一度導入して終わりではなく、適切な予測を行うためには日々の運用が重要となります。

 

DATUM STUDIOの需要予測AIソリューション

需要予測システムの課題を踏まえ、より高精度かつ実務に寄り添った需要予測を継続して達成するためには、需要予測専門のデータサイエンティストによる支援を受けるのが効果的です。

DATUM STUDIOでは、独自の予測アルゴリズムを用いて数多くのお客様に需要予測システムのソリューションを提供しております。

 -  専門のデータサイエンティストによるアルゴリズムのカスタマイズ
 -  特徴量の設計、予測粒度の検討、外れ値のハンドリング
 -  データの専門家による需要予測の因子分析
 -  需要の増大・減少に影響する可能性のある因子を専用のアルゴリズムにより発見

直近の事例として、リンガーハット様のAI自動発注システム導入を支援させていただいており、ITmediaにてインタビュー記事が掲載されました。

ニュースリリース: https://datumstudio.jp/information/200317_itmedia/

 

需要予測に関するまとめ

本稿では、需要予測の基礎的な考え方について、整理してご紹介しました。
次回の記事では、需要予測のより詳細な手法について「需要予測でよく使われる手法」という形でご紹介させて頂きます。

DATUM STUDIO では、機械学習(マシーンラーニング)、深層学習(ディープラーニング)の知見を活用し、需要予測に関するあらゆる課題の解決を支援いたします。
お困り事やご相談がございましたら、 下記の問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

 

参考文献: 
●品切れ、過剰在庫を防ぐ技術~実践・ビジネス需要予測~ (著:山口 雄大)
●業界別!AI活用地図 8業界36業種の導入事例が一目でわかる(著:本橋 洋介)



DATUM STUDIOは、クライアントの事業成長と経営課題解決を最適な形でサポートする、データ・ビジネスパートナーです。
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