生成AI × CDPで実現する、オーナー様サポート業務の効率化と品質向上 | DATUM STUDIO株式会社

パナソニック ホームズ株式会社 生成AI × CDPで実現する、オーナー様サポート業務の
効率化と品質向上

事例

概要

建築請負、リフォーム、不動産売買・仲介、住宅システム部材の販売など、住宅に関わる幅広い事業を展開しているパナソニック ホームズ株式会社(以下、パナソニック ホームズ)は、創業者 松下幸之助氏の想い「住まいは人が暮らしていくうえで最も大切なもの。それにふさわしい良い家をつくりたい。」という想いを基に住まいづくりに取り組み、1963年の創業以来、お客さまの人生に寄り添う住まいづくりを通じて、生涯にわたるご満足の実現を目指しています。

こうしたオーナー様への価値提供をさらに高めていくため、同社ではデータと生成AIの利活用による業務改善に取り組んでいます。
その取り組みの一環でDATUM STUDIOが、パナソニック ホームズの住宅を購入されたオーナー様へのサポート業務において、CDP(Customer Data Platform)と生成AIを活用した「レポート自動作成システム」の構築を支援しました。

 BigQuery に蓄積されたデータを活用し、 Gemini とdbtを組み合わせたパイプラインを構築。これにより、オーナー様の情報を自動で要約・レポート化し、 Looker 上で可視化する仕組みを実現しました。

課題

同社のオーナー様のサポート業務においては、次のような課題がありました。

  • オーナー様の過去の応対履歴や嗜好性などの情報を把握するための検索・整理に時間がかかる
  • オーナー様を訪問する際に、必要な情報をコンパクトに参照できる仕組みが不足している

そこで、従来は営業オーナーサポート担当者がそれぞれ個別に行っていた情報整理を自動化し、業務効率向上と応対クオリティの均一化を図るべく、本プロジェクトに着手しました。

Google Cloud のソリューションを採用した理由と具体的な取り組み

まず、同社が既に構築・運用していた BigQuery ベースのCDPを最大限に活用することを基軸とした開発を検討しました。
※データ基盤CDPの構築プロジェクトについては、こちらの記事をご参照ください。

データパイプラインの構築

前提として、生成AIを利用する際はPythonなどのプログラムから実行することが一般的ですが、今回は BigQuery の関数経由で Gemini を活用することで、 要約処理をSQLおよびdbtワークフロー上で実行する構成を採用しました。

これにより、追加開発にかかるリソースやコストを最小限に抑えつつ、既存のデータ基盤上で柔軟に生成AIを活用できる環境を実現しました。

ただし、この構成ではデータパイプラインの実行時に、 Gemini のクォータ制限によるエラーが発生するリスクがありました。
そこで、以下の工夫により、リスクを回避し安定的に稼働するデータパイプラインの構築を可能にしました。

  • 一度に処理するデータ量を限定する
  • データの不変性の確認(改ざん検知)および機密データ保護のため、プロンプトをハッシュ化し、差分のみを実行する

Looker による可視化と類似事例の検索

オーナー様の情報や過去の応対実績を Gemini でベクトル化し、 Looker のカスタムクエリ機能を活用して検索可能にしました。
これにより、インタラクティブなベクトル検索体験を実現しています。

最終的には、Pythonコードをほとんど記述することなく、SQL・ LookML ・インフラ構築のみでアプリケーション全体を構成することに成功しました。

成果

先述のとおり、既存のデータ基盤を活かしながら追加開発にかかるリソースやコストを最小限に抑えたことに加え、ユーザーテストの段階において非常に高い評価をいただきました。現在は、オーナー様のサポート業務において、従来手作業で作成していた報告レポートが自動化され、整理・検索を含む対応時間の大幅な削減と業務の標準化を実現し、現場で活用されています。

活用いただいている皆さまからは、

  • 「訪問時に必要な情報をすぐに取得でき、準備にかかる工数を削減できた」
  • 「キャリアの浅い新任担当者でも、一定の品質を担保した応対ができるようになった」

といった声が寄せられています。

今後の展望

パナソニック ホームズではオーナーサポート部において構築した仕組みをベースに、他部門への展開も視野に入れながら、さらなる機能拡張と利便性の向上を検討しています。
また、AIエージェントを活用した顧客管理により、オーナー様からいただいたお問い合わせの回答案作成、定期メンテナンス提案のリマインドなど、オーナー様と担当者のコミュニケーションを一層強化するための取り組みを進めています。

DATUM STUDIOのケイパビリティ

DATUM STUDIOは、データ基盤構築から機械学習、生成AI導入までを一気通貫で支援するエキスパートチームです。
 Google Cloud をはじめ、BigQuery・Looker・Vertex AI・Geminiなどの各種プロダクトを連携させ、「分析できるデータ」から「自走するデータ活用」を実現します。
データ基盤構築のみならず、今回のプロジェクトのように、既存のDWH・CDP上で最小限の追加開発で生成AIを実装するアプローチにも強みを持っています。

今後も、業務データと生成AIを融合させ、クライアントのDX推進を支える仕組みづくりを支援してまいります。

    

※ Google Cloud および Google Cloud 製品・サービス名称は Google LLC の商標です。

100名を超すデータサイエンティスト/エンジニアが所属
業種・業界を問わず多数の実績

DATUM STUDIOには100名以上のデータサイエンティスト/エンジニアが所属しており、AIを活用し業種・業界を問わず多数の企業の経営課題を解決した実績がございます。お客さまのビジネスゴール達成に向け、課題抽出から最適なデータ活用のプランニング、概念実証(PoC)、インフラ構築、AIモデル構築、継続的インテグレーション(CI)、継続的デリバリー(CD)、継続的トレーニング(CT)までご要望に応じて柔軟に対応いたします。

100名を超すデータサイエンティスト/エンジニアが所属業種・業界を問わず多数の実績