Snowflake Summit 2026 最速レポート Day2
Agentic Enterpriseを実現する機能群を一気に紹介
目次
はじめに
Keynote終了後からずっとテンションが高い、DATUM STUDIOの岩田です!
Snowflake Summit 2026のDay2で紹介されたKeynoteの内容をお届けします。
Keynoteでは、Day1で語られた「Agentic Enterprise」のビジョンを、実際にどうプロダクトとして実現していくのか、について紹介されました。
Day1では、企業データ、AIモデル、業務アプリケーションをつなぎ、AIエージェントが日常業務や意思決定を支援する世界観が示されました。
本日は、その土台となるSnowflakeの新機能や既存機能の強化が、かなり具体的に発表されました。
Keynote全体を通じて印象的だったのは、Snowflakeが「AI機能を追加する」だけではなく、データの取り込み、処理、開発、ガバナンス、共有、業務利用までを一つの流れとしてつなげようとしている点です。
また、Christian Kleinerman氏の言葉も印象に残っています。

「Snowflakeはガバナンスとセキュリティの安心感をもって、会社のコンテキストでAIを活用して生産性を向上させるために、組織内のすべての人を支援することを知って欲しい」
と述べられていました。
まさに、Agentic Enterpriseですね。
今回のKeynoteは、大きく次の4つのACTに分かれていました。
- 1.THE ERASURE OF FRICTION:複雑さを減らし、開発・データ活用を簡単にする
- 2.THE BASTION OF TRUST:信頼・ガバナンス・運用を強化する
- 3.THE LIBERATION OF DATA:Snowflakeの外にあるデータやロジックともつながる
- 4.THE OMNIPRESENCE OF INTELLIGENCE:AIエージェントを一部の専門家だけでなく、全員の仕事に広げる
1.THE ERASURE OF FRICTION:複雑さを減らし、開発・データ活用を簡単にする
最初の大きなテーマは、Snowflakeの原点でもある「複雑なものをシンプルにする」という考え方でした。
Keynoteでは、Snowflakeがこれまでストレージとコンピュートの分離、フルマネージドな運用、クロスクラウド・クロスリージョン対応、データ共有、Apache Iceberg、非構造化データ対応などを通じて、データ基盤のサイロをなくしてきたことについて触れられました。

Snowflake CoCo:開発者の作業を支援するAIエージェント
まず印象的だったのが、Cortex Codeあらため、「Snowflake CoCo」です。CoCoは、Snowflake上での開発や運用を支援するAIエージェントとして紹介されました。
これまでのCortex Codeは、Snowflakeの知識をもとにコード作成や作業を支援する存在でしたが、今回の発表では、より広い開発体験に組み込まれている印象を受けました。
Cloud Agent、サンドボックス環境、スケジュール実行、非同期API、スキルカタログなどが紹介され、単なるコード補完ではなく、Snowflake上の作業を一緒に進める相棒のような存在になっています。
Openflow / Data Stream:データ取り込みをより簡単に

データソース側の機能としては、Openflowの強化とDatastreamが紹介されました。
Openflowは、構造化データや非構造化データの連携を管理する仕組みとして昨年紹介されていましたが、今回はAPIやプログラマブルなアクセス、プライベート接続、コネクタ拡充が発表されました。Oracle、ShopifyなどのコネクタがOpenflowの一部として提供されることで、外部システムとの連携がより扱いやすくなりそうです。
さらに、Snowflakeに組み込まれたフルマネージドのストリーミングサービスとして Datastreamも紹介されました。Kafka Wire互換で、サブ秒レイテンシのゼロコピー・ストリーミングができるという説明があり、イベントデータをSnowflakeに近い場所で扱いたいユースケースに向いていそうです。

Cortex AI Functions Studio / Agentic Search
Cortex AI Functions Studioは、独自のAI関数を作成・カスタマイズできるようになると紹介されていました。
既存のAI関数を使うだけでなく、企業ごとの用途に合わせてAI処理を定義できる点がポイントです。

さらに面白かったのが、Agentic Searchです。通常の検索のように関連文書を返すだけでなく、非構造化データから必要な情報を抽出したうえで構造化データとして整理し、分析クエリまで実行して正確な答えを返す、という説明がありました。
これにより、「契約書の中から2025年に締結された契約件数を数える」といった、非構造化データと分析の中間にあるユースケースに対応しやすくなりそうです。

Code Bundles / Cortex Training / Pipeline Builder / Streamlit Hosting / Snowflake App Runtime
開発者向けには、Code Bundles、Cortex Training、Pipeline Builder、Streamlit Hosting 、Snowflake app runtimeなども紹介されました。
Code Bundlesは、PythonやJavaのコードをファイルから直接Snowflakeにデプロイして実行できる機能です。
これまで別環境で作ったコードをSnowflakeで動かすには、コピー&ペーストやラッパー作成が必要になる場面がありましたが、その摩擦を減らしてくれそうです。

Cortex Trainingは、モデルのファインチューニングや強化学習をSnowflake上のフルマネージド環境で行える機能として紹介されました。モデルをただ呼び出すだけでなく、自社データや業務文脈に合わせて育てる方向に進んでいると感じます。

Pipeline Builderは、直感的にパイプラインを編集・実行・確認できる機能です。ノートブックやパッケージから実行でき、エラー確認や修正も行えるという説明がありました。SQLやコードだけでなく、視覚的にパイプラインを扱えるようになることで、開発者だけでなくデータ活用を担当する方にとっても使いやすくなりそうです。

Streamlit HostingのGAも発表されました。Workspaces統合、Git統合、Containers実行です。
Streamlitは、すでにデータアプリ開発でよく使われていますが、Snowflake上でより高速・低コストにホスティングできるようになることで、データアプリを作って共有する流れが、さらに現実的になります。

さらに、アプリケーションを自由に作成したい人に朗報!Snowflake App Runtimeがパブリックプレビューとなりました!
Node.jsが実行できるため、Reactアプリを自由に作成することができます。
また、CoCoがサポートやSnow app deployでのデプロイにも対応しているそうです。

2. THE BASTION OF TRUST:信頼・ガバナンス・運用を強化する
2つ目のテーマは、AI時代の「信頼」です。
AIエージェントがデータを確認・分析し、場合によってはアクションまで行うようになると、これまで以上にガバナンスやセキュリティが重要になります。Keynoteでも、信頼はセキュリティ、パフォーマンス、可観測性、ガバナンス、事業継続性によって支えられるものとして語られていました。

Intent-driven Governance:意図を伝えるだけでガバナンスを設定
ガバナンス領域で印象的だったのが、Intent-driven Governanceです。
たとえば「データベース内のすべてのPIIデータを保護して」と自然言語で意図を伝えると、AIとCoCoが対象データを分類し、適切なポリシーを作成し、継続的にガバナンスを維持するという考え方です。
従来のガバナンス設定は、分類、タグ付け、マスキング、権限、ポリシーなどを個別に設計・実装する必要がありましたが、Intent-driven Governanceでは、ユーザーが「何を守りたいか」を伝えると、Snowflake側が必要な設定を支援する方向に進んでいます。

Data Movement Policy / Agent Identity / Trust Center
AIエージェントがVIP顧客の連絡先情報を取得しようとする場面が紹介されました。エージェント自体はテーブルにアクセスできても、ユーザー権限やポリシーによって実際の値は見えない、また外部ステージへのエクスポートもData Movement Policyによってブロックされる、という流れです。
AIエージェントが「万能な管理者」になるのではなく、Snowflake上の既存の権限やポリシーに従って動くことが重要です。Agent IdentityやData Movement Policyが、AI時代の新しいアクセス制御として機能している印象でした。
Trust Centerでは、どのエージェントが作られたか、どのセキュリティスキャナーが有効か、データ移動ポリシー違反があるかなどを確認できます。さらに、Prompt Injection対策のようなAI Guardrailsにも触れられていました。
Horizon Context
Horizon Contextは、Snowflake内外のデータに対して、テーブルやカラムの説明、リネージ、タグ、セマンティックビューなどの文脈情報を付与し、人間だけでなくAIエージェントもデータの意味を理解できるようにする仕組みです。
AIが単にデータを検索するだけでなく、「どのデータを使うべきか」「その指標は何を意味するのか」「回答の根拠はどこか」を判断しやすくなるため、より信頼できるAI活用につながります。

3.THE LIBERATION OF DATA:Snowflakeの外にあるデータやロジックともつながる
3つ目のテーマは、相互運用性とコラボレーションです。
Day2のKeynoteでは、Snowflakeが「ロックインしない」こと、そしてデータやビジネスロジックのサイロをなくすことに、強くコミットしているということが何度も語られました。

Apache Iceberg / Horizon Catalog / Magnet Storage
相互運用性の中心として紹介されていたのが、Apache Icebergです。SnowflakeはIcebergへの取り組みを強調し、Apache PolarisのインターフェースをHorizon Catalogに統合することで、Snowflake管理のデータだけでなく、外部カタログで管理されるデータにも対応していく方向性が示されました。
また、Snowflake Magnet Storageも紹介されました。Iceberg Tables向けにAWSとAzureでGA、 Google Cloud 向けにも予定されているとのことで、オープンフォーマットのデータをSnowflakeで扱うための基盤がさらに強化されています。
これにより、すべてのデータをSnowflake内にコピーして閉じ込めるのではなく、既存のデータレイクや外部カタログとつながりながら、SnowflakeのガバナンスやAI機能を使う方向が、より現実的になってきています。
Open Semantic Interchange:意味定義の相互運用
データの相互運用性だけでなく、セマンティクスの相互運用性 も強調されていました。
Open Semantic Interchangeへの取り組みは、指標定義やビジネスロジックを特定ツールに閉じ込めず、複数のBI、AI、データ基盤で共通して扱えるようにするためには、重要な流れだと感じました。
Open Sharing / Multi-party Collaboration / Zero-copy Partnership
共有・コラボレーションの領域でも多くの発表がありました。まず、共有されたデータをさらに再共有できる機能がGAになったこと、そしてSnowflakeアカウントを持たない相手にも、Iceberg REST APIを通じてデータを共有できるOpen Sharingが紹介されました。

さらに、Multi-party Collaborationでは、複数の関係者が1つのセキュアな環境で、データ提供者や分析ユーザーといった役割を分けて共同作業できるようになります。Clean Roomの考え方を広げ、より大きなデータコラボレーションの基盤にしていく方向性が見えました。

また、Zero-copy Partnershipとして、Salesforceに続き、IBMやSAPとの連携も紹介されました。
特にSAP連携のGAは、多くの企業にとって関心が高いポイントだと思います。RedshiftやPostgresなど外部ソースを横断してクエリできる機能にも触れられており、Snowflake外にあるデータにもSnowflake AIの力を届ける方向性が示されていました。

4.THE OMNIPRESENCE OF INTELLIGENCE:AIエージェントを一部の専門家だけでなく、全員の仕事に広げる
最後のテーマは、AIエージェントを組織全体の仕事にどう広げるかです。
Keynoteでは、これからは「ubiquitous intelligence」の時代であり、CEOから現場の担当者まで、誰もがデータサイエンティストやアナリストのような力を持てるようになる、と語られました。


Snowflake CoWork:質問に答えるだけでなく、仕事を進める
Snowflake CoWorkは、組織内のさまざまなユーザーがAIエージェントを使ってデータにアクセスし、意思決定や業務アクションにつなげるための体験として紹介されました。
従来のBIでは、ユーザーがダッシュボードを見に行き、必要であればアナリストに追加分析を依頼していました。しかしSnowflake CoWorkでは、ユーザーが自然言語で質問し、AIが必要なデータや文脈を見つけて回答し、場合によっては次のアクションまで支援します。
この流れは、単なる「自然言語BI」よりも一歩進んでいます。質問に答えるだけでなく、業務プロセスの中に入り、仕事の進め方そのものを変えていくのだと感じました!

Personal Work Engine / User Memories / Scheduled Tasks
Snowflake CoWorkの進化として、Personal Work Engine も紹介されました。
これまでのように、ユーザーが複数のエージェントから適切なものを選ぶのではなく、個人ごとのパーソナルエージェントがリクエストを理解し、必要に応じて複数のエージェントへルーティングします。
また、User Memoriesにより、ユーザーの好みや過去の使い方を学習し、より文脈に合った回答ができるようになるとのことでした。さらに、Personal Skills、Personal MCP Connectors、Scheduled Tasksも紹介され、定期的な分析結果を毎週・毎月送ってもらうような使い方もできそうです。
これにより、AIエージェントは「必要なときに質問するツール」から、「日々の業務を継続的に支援する存在」へ近づいていると感じました。

Next-generation Artifacts / Cortex Sense
次世代のArtifactsでは、ダッシュボードのような体験を作れるだけでなく、ライブデータに基づいたガバナンスされたビューとして提供できると説明されました。CoCoで作成した体験を認定し、組織のビジネスユーザーに公開する流れも紹介されており、AIアプリや分析体験の配布がより簡単になりそうです。

また、Cortex Senseも発表されました。Cortex Senseは、Snowflake内のデータやアクティビティから自動的にコンテキストやシグナルを集め、エージェントの精度や有用性を高めるランタイム機能として紹介されました。
特に、標準状態では精度が24%だったものが、Cortex Senseのアプローチにより83%まで向上するという説明があり、AIエージェントを実業務で使う上で、コンテキストの重要性がよくわかりました。
AIエージェントの精度は、モデル単体だけで決まるものではありません。どのデータを見て、どの業務文脈を理解し、どのユーザーに合わせて回答するかが重要です。Cortex Senseは、その部分をSnowflake上のデータや利用履歴から補っていく機能だと理解しました。

まとめ:Snowflakeは「AIを試す場所」から「AIで業務を動かす場所」へ
Day2のKeynoteでは、非常に多くの機能が発表されました。
Openflow、Datastream、CoCo、Cortex AI Functions Studio、Agentic Search、Code Bundles、Cortex Training、Pipeline Builder、Streamlit Hosting、Intent-driven Governance、Data Movement Policy、Open Sharing、Multi-party Collaboration、Personal Work Engine、Cortex Senseなど、個別に見るとかなり幅広い発表でした。
そして、全体を通して見ると、Snowflakeが向かっている方向性は、かなり一貫していると感じました。
企業内外に分散したデータをSnowflakeにつなぎ、ガバナンスされた形で管理し、その上でAIエージェントやアプリケーションを動かし、最終的に業務アクションにつなげるという方向です。
これまでSnowflakeは、データを集めて分析するための基盤という印象が強かったと思います。今回のKeynoteで発表された内容によれば、今後は「企業データをもとにAIエージェントが動き、業務を支援するための基盤」へと役割が広がっていくように感じました。
個人的には、まずはCortex AnalystやCortex Search、AI Completeのような既存のSnowflakeデータに近いところからAI活用を始め、そこにSemantic Layerやガバナンス、CoCoやSnowflake CoWorkを組み合わせていくのが現実的な進め方になりそうだと感じました。
将来的には、データエンジニアがCoCoにパイプライン調査を依頼したり、営業担当がSnowflake CoWorkに顧客状況を聞いたり、経営層が最新の業績や市場変化をAIに確認することが、自然な業務体験になっていくかもしれません。
Day2のKeynoteは、今までリリースされてきた機能がCoCoやSnowflake CoWorkに集約されていく感じが見て取れたので、すごくテンションが上がりました!
