複雑化する視聴データの分析基盤構築に「Snowflake」を活用した事例
朝日放送テレビ株式会社(以下、朝日放送テレビ)では、テレビの視聴データをはじめとする膨大なデータをテレビ視聴からWEBサイトへの流入や広告効果の計測・分析、地上波とTVer(※1)における視聴の重複分析などによる新たなビジネスの価値創出に活用したいと考え、データ分析基盤であるDMP(※2)をSnowflakeで構築しました。
本記事では、朝日放送テレビがSnowflakeを選択・活用した背景と、それに伴い同社が技術的知見を獲得するため、DATUM STUDIOがアドバイザーとして支援させていただいた事例をご紹介します。
※1:民放テレビ局が共同で提供する、国内最大級の見逃し無料配信動画サービス
※2:Data Management Platformの略で、インターネット上のユーザーの行動履歴や属性データ、広告配信データなど様々なデータを一元的に管理し、マーケティングに活用できるプラットフォーム
課題
朝日放送テレビでは、膨大なデータを活用する上で、次のような課題を抱えていました。
データソースの種類とデータ量の多さ
従来のテレビ視聴率に加えて、近年ではTVerをはじめとするサービスの視聴ログやテレビ広告、デジタル広告、SNSといったデータソースが多様化しています。同社のようなテレビ局やマスメディアでは、日々蓄積される多種多様なデータを膨大に保有しているものの、十分な利活用にまで至っていないケースが少なくありません。
データ分析の複雑性
テレビ視聴者の視聴環境および視聴態様の複雑化に伴い、データソースも多様化しています。より細かい粒度かつ多様な切り口でデータを分析し、多様化する視聴環境に対応するコンテンツ制作や、広告価値の向上が求められています。
データの格納先が分散
朝日放送テレビでは、多種多様なデータの格納先がクラウドや社内他部署のオンプレミス、社外など、複数に跨っており一括した管理ができていませんでした。
そのため複数のデータを横断した分析ができておらず、収集しているデータの価値を高めることができていませんでした。
このような課題を解決するべく同社では、クラウドDWHであるSnowflakeを活用し、BIツールと連携することで、ダッシュボードで視聴データを可視化しました。さらに、TVerなどのデータと連携を図ることで、データ利活用の技術的知見の獲得を目指しました。
Snowflakeがこれらの課題を解決できるポイント
朝日放送テレビのようなテレビ局やマスメディア特有の課題に対して、Snowflakeは次のようなアプローチで解決できます。
スケーラビリティの高さ
Snowflakeは、様々なデータソースとの連携やデータ型の集約が可能です。データを大規模かつ低コストで保存できるストレージと、大規模データを最大限活用できるコンピュート等のリソースにより、要求に合わせて自在にスケールすることが可能です。
拡張性の高いデータプログラマビリティで、分析軸を多様化
視聴分析の複雑性に対処する機能として、プログラマビリティを拡張することで分析軸を多様化することが可能です。
ニアリアルタイムで鮮度が高いデータをダッシュボードで可視化することや、アドホックな分析により、各施策における迅速な意思決定をもとに、広告価値の向上につなげることが可能です。
シームレスなデータ連携
グループ会社や関連部門とデータを共有・統合する際に、クラウドやリージョンを跨いでシームレスに連携することができる環境構築が可能です。
それによりデータの活用範囲を広げ、利活用の価値を高めることを実現しました。
コンサルティングパートナーにDATUM STUDIOを選定した理由と成果
本プロジェクトにおける必要な検証事項の抽出、Snowflakeを活用した視聴データを取り扱うDMPの構築、Tableau(※3)を用いたデータの可視化という一連のフローは、朝日放送テレビにとって初めての取り組みでした。
これまでDATUM STUDIOが様々な業界・業種のクライアントに対してSnowflakeの導入を支援してきたことで培った実績と、データ利活用における豊富な知見を有していることに加え、以前も放送事業者であるクライアント企業のプロジェクトにおいて、膨大な視聴データを扱った分析基盤構築の実績があったことで、今回朝日放送テレビのアドバイザリーとしてデータ基盤構築のノウハウの伝授と分析に関するサポートをいたしました。
データ基盤構築後は、同社が運営するWEBサイトのデータと連携して、プロモーション施策の改善・PDCAサイクルの構築などに取り組まれています。
※3:直感的な操作で分析ができ、ビジュアル分析に長けているBIツール