Snowflake 

Snowflake Summit 2025 最速レポート最終日③
-Easily and Cost-Efficiently Managing Data Transformation Pipelines on Snowflake編-

こんにちは、DATUM STUDIOの原戸です。
データエンジニアリングの現場では複雑なデータパイプラインの構築と保守に、多くの労力が割かれています。特に、複数のツールを跨いだオーケストレーションや監視、コスト管理といった課題は、エンジニアの生産性やビジネスの俊敏性に直結します。
このような課題を解決するために、Snowflakeは「dbt Projects on Snowflake」という新たな仕組みを導入し、直感的かつ、効率的なパイプライン運用を実現します。本記事では、この仕組みがもたらす変革とその実用性について詳しく解説します。

データエンジニアリングにおける課題

まず、Snowflakeが顧客からヒアリングした代表的な課題は、以下の3点です。

パイプライン構築の学習コストが高い
多くのチームが自分たちでパイプラインを構築・運用することを望んでいるものの、複数のツールに跨る知識が必要で、初学者にとっては高いハードルとなっている。

システムの分散による保守負荷
オーケストレーター(たとえばAirflow)とSnowflake間の連携において、計算リソースやメタデータの管理が必要となり、全体を一貫して保守・監視することが困難。

デバッグの難しさ
ログが分散していることでボトルネックの特定が難しく、障害対応や自己解決がしにくい環境になりがち。

こうした課題を踏まえ、Snowflakeはdbt™をSnowflakeネイティブで実行できる仕組みを開発しました。

dbt Projects on Snowflake の全体像

Snowflakeが提供する “dbt Projects on Snowflake” は、以下の4つの特性に基づいて構成されています

Self-Service
ユーザーが自らパイプラインを作成・実行できるマネージド環境を提供

Observable
パイプラインの実行履歴やエラーをUIおよびログで統合的に可視化

Governed
データとパイプラインの両方に対して統一されたセキュリティと権限管理が可能

Managed
信頼性の高いインフラ上で、パイプラインを即時稼働(設定不要)

この仕組みによって、Snowflakeの中で完結するパイプライン構築と運用を実現します。

パイプラインライフサイクルの統合

従来のパイプラインでは、ビルド、テスト、デプロイ、スケジューリング、モニタリングといった工程を複数のツールで管理する必要がありました。しかし、dbt Projects on Snowflakeでは、すべてのプロセスがSnowflake上で完結します。UIを使えば、Gitリポジトリからプロジェクトをインポートし、Snowsight上でコードを編集、DAG(依存関係グラフ)を可視化しながらビルドやテストを実行できます。また、スケジューリングや実行状況のトレースも同一UIで行えるため、パイプライン管理の生産性が飛躍的に向上します。

トレーシングと可視化による運用効率の向上

特に注目すべきは、トレーシングと実行履歴の可視化機能です。各dbtプロジェクトの実行履歴は、Snowflake内のテレメトリイベントテーブルに蓄積され、詳細なスパン情報(処理単位ごとの時間やリソース使用量など)をもとに、どこでボトルネックが発生しているかを一目で把握できます。この情報は、障害発生時の迅速な対応や、処理最適化の根拠として活用できます。

Snowflake上におけるネイティブ体験の価値

Snowflakeネイティブでdbt™を実行することで得られる最大のメリットは「インフラを意識しなくてよくなる」という点です。オーケストレーターの管理、外部接続、ランタイム環境の設定といった煩雑な作業から解放され、データモデリングや変換ロジックの設計に集中できるようになります。これにより、より俊敏で信頼性の高いデータパイプラインの実現が可能となります。

セッションの最後には、InterWorksのChris Hastie氏によるフィードバックが紹介され「これほど直感的で高速かつ、多機能なパイプライン環境は他にない」と絶賛されていました。

UIを通じてすべてのパイプライン操作が可能であり、さまざまなユースケースに応じて拡張できる設計になっています。

まとめ

Snowflake上でdbtプロジェクトをネイティブに実行できるようになったことで、データエンジニアは従来の複雑なパイプライン管理から解放され、シンプルでスケーラブルかつ、高信頼なアーキテクチャへと移行できます。これは単なる技術的な進歩にとどまらず、データチームのコラボレーションと俊敏性、ビジネスインサイトの創出速度を飛躍的に高める基盤となります。

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