Snowflake Summit 2025 最速レポート3日目③
-Builders Keynote編-

こんにちは、DATUM STUDIOの菱沼です。
今回こそは時差ボケを克服したと思ったら、昨日夕方1時間仮眠を取るはずが深夜まで寝てしまい夕飯を食べそこねてしまいました。油断大敵ですね。
さて今回は、Snowflake Summit 2025 3日目に行われた、Builders Keynoteの模様を紹介します。
目次
- 1 ビルダーたち、そしてSUMMITへ来てくれている人たちへの感謝
- 2 AI-INFORMEDなソフトウェア開発ライフサイクル
- 3 分析者やデータサイエンティストに向けて
- 4 構造化データに対するツール Cortex Analyst API
- 5 非構造化データに対するツール Cortex Search API
- 6 Streamlit in Snowflake(SiS)の機能強化
- 7 Snowflake Notebooksの発展とSnowflake Workspace
- 8 WHOOPでのエージェント事例
- 9 トヨタ自動車でのデータメッシュ事例
- 10 私たちはまだAIの夜明けにいる
- 11 AI推論の時代
- 12 AIインフラのパフォーマンス向上
- 13 OpenAI互換エンドポイント
- 14 シリコンバレーAI HUB(SVAI)の立ち上げ
- 15 まとめ
ビルダーたち、そしてSUMMITへ来てくれている人たちへの感謝
SnowflakeでOSS Developer Relationsのシニアマネージャを務めるDanica Fineさんより、開発者とSUMMIT参加者への感謝が告げられました。
テクノロジーを中心に限界を押し広げ、Snowflakeへのフィードバックをくれる熱意に感謝、これはテクノロジー以上のもののはず、とのことでした。
Snowflakeのコミュニティは50万人以上が参加し、82のユーザーグループに5万人のアクティブなユーザーがいて、その多くがこの1年間で増えたとのことです。

AI-INFORMEDなソフトウェア開発ライフサイクル
馴染みのあるソフトウェア開発ライフサイクルは、AIの登場で正確ではなくなっていると語られました。具体的には「PLAN」と「DEVELOP」の間に新しく「ARCHITECT」が挿入され、これを「AI-INFORMED」なソフトウェア開発ライフサイクルと呼んでいます。

これは、過去にもアプリケーションの構築においてデータに焦点が当てられてきましたが、これまで以上にデータを最適な設計が不可欠になったことを示しています。例えば多くのデータ種に対応し、下流のアプリケーションに高品質なデータを提供したりすることがあげられます。
またCopilotなどの登場で、前述の「ARCHITECT」をソフトウェア開発ライフサイクルへ追加するだけの変化にとどまらず、開発作業全体がAIの影響を受けるようになっています。
アンケートによると、回答者の72%が「2025年の終わりまでに特定のタスクをAIに任せると予想している」と語られました。
SnowflakeはAIが提供するすべてのことについて、時代の先を行くことができるプラットフォームだとして、Builders Keynoteでは新しいソフトウェア開発ライフサイクルを深堀りしていきます。
分析者やデータサイエンティストに向けて
AI時代においてどのようにデータ分析が変化し、Snowflakeの目的が進んでいく変革の先を行く手助けをすることだと語られました。
変化として次の3つがあげられました。
- ・LLMによる自動化
- ・非構造化業務システムデータ
- ・ビジネスユーザによる分析

「LLMによる自動化」はデータチーム自体がエージェント型分析システムに移行しつつあることを示しており、すでにミッションクリティカルなワークロードの一部をこなすまでになっているそうです。Day2までのKeynoteでも、SnowflakeではエージェントとしてSnowflake Intelligenceが発表されていました。

「非構造化業務システムデータ」は、これまでの業務システムは構造化データを主に扱ってきましたが、LLMがあらゆる種類のデータを要約可能となったことで社内ナレッジマネジメントシステムへエージェントが組み込まれるなど、非構造化データを業務システムで扱う例があげられていました。
「ビジネスユーザーによる分析」は、AIの発達でステークホルダー自身がデータを探索できるようになって来たことを示していて、データドリブンカルチャーの構築に役立つものの、同時にデータを安全に利用しやすくするためのガードレールの必要性も上がってきているそうです。
構造化データに対するツール Cortex Analyst API
Snowflake Intelligenceは、構造化データに対するツールとしてCortex Analyst APIを利用します。APIの中にはガードレール機能があり、AIがデータを正確に取り扱えるようにするAIエンジニアリングの機能として、セマンティックビューとそれに含まれる検証済みクエリ(Verified Queries)が紹介されていました。
セマンティックビューは、AIにデータの属性や指標を伝える仕組みで検証済みクエリは詳細な説明はありませんでしたが、AIに分析目的に対する正しいクエリを教える機能のようです。

非構造化データに対するツール Cortex Search API
Snowflake Intelligenceでは非構造化データに対するツールとして、Cortex Search APIを利用します。Cortex Searchはマネージドにハイブリッド検索を提供するSnowflakeの機能の一つで、Snowflake独自のLLMであるArcticが組み込まれていることで、高い検索性能を発揮します。

Streamlit in Snowflake(SiS)の機能強化
分析者やデータサイエンティストにとって、アプリケーション開発に利用するSiSについていくつかの嬉しい発表がありました。
- ・AWS、AzureでPrivateLinkでの利用が一般利用可能(GA)されました。
- ・OSS版のStreamlitの機能がSiSでも利用可能になりました。ファイルアップロード、カメラインプット、オーディオインプット、マテリアルアイコンなどです。
- ・高度なテーマ設定、Git連携、マルチページファイルの編集などがパブリックプレビューされました。
- ・カスタムコンポーネントがもうすぐパブリックプレビューされる予定です。
ますます機能が強化されるSiSは、これからも要注目ですね。

さらに複数企業のメンバーによるStreamlit ステアリングコミッティーが紹介されました。OSSコミュニティの健全な発展に期待が持てます。
Snowflake Notebooksの発展とSnowflake Workspace
昨年発表され開発が継続されてきたNotebookですが、この1年間でAWS、Azure、 Google Cloud のすべてのプラットフォームでGAされ、すべてのプラットフォームでプライベート接続がサポートされるようになりました。
Snowflakeのような高いガバナンスとセキュリティを持つプラットフォームの中で、分析者が安心してデータにアクセスできる環境が整い、出揃ったことになります。

そして今回のSUMMITではSnowflake Workspaceが発表され、Snowflake上でStreamlitやNotebookなど、ファイルを利用する開発作業が可能になりました。
Workspaceでは、dbtプロジェクトのサポート、外部Gitとの連携、左右分割UIのサポートなど、便利なエディター機能を提供します。
もちろんWorkspaceではCopilotも利用できるようです。
WHOOPでのエージェント事例
Builders Keynoteでは2つの事例が取り上げられました。
1つ目の事例はWHOOPで、構造化データ、非構造化データを用いるエージェント開発プロジェクトで、構造化データをdbt™が処理し、dbt™からセマンティックモデルを作成するなど、AIエンジニアリングの事例です。

トヨタ自動車でのデータメッシュ事例
2つ目はトヨタの事例です。多様なシステムから中央集権的なデータインジェストをしつつ、データ利用側ではドメインごとにデータベースを持つことで、実現するデータメッシュアーキテクチャを採用していました。

私たちはまだAIの夜明けにいる
AI時代の開発サイクルを考えると、AIがコーディングを支援するようになり、テストもAIが記述し自動化するようになってきましたが、自然言語のようなものをテストすると考えた時に、まだ適切に構築する方法は見つかっていません。そのため現代は、「物語のはじまりの段階にいる」と述べられています。

AI推論の時代
AIは推論の時代とトレーニングの時代を行ったり来たりする、と言われていて、今は推論の時代ではないかと言われています。
LLMはまだまだ進化の途中で、タスクに最適なモデルは毎月のように変わっています。
そのためSnowflakeでは最適なモデルを利用できるよう、OpenAIやAnthropicの複数のモデルをサポートしています。

AIインフラのパフォーマンス向上
Snowflake Cortexでは、LLMの推論のためのサービングレイヤーにvLLMを利用しており、多数の推論技術を活用した推論最適化によって、レイテンシを4倍、スループットを2倍に向上させています。
SnowflakeではAIインフラのパフォーマンス向上のために、vLLMだけでなくオープンソースプロジェクトに多額の投資をしてきています。

OpenAI互換エンドポイント
Snowflake Cortexは外部のエージェントからも利用できるよう、OpenAI互換のエンドポイントを提供するようになります。ベースURLを変更して、Cortexエンドポイントに向けるだけで、自分のソフトウェアからCortexを呼び出すことが可能です。

シリコンバレーAI HUB(SVAI)の立ち上げ
AIの盛り上がりに対して、Snowflakeはメンローパークキャンパスに28,000平方フィートの広さでSVAIを立ち上げました。
SVAIでは、スタートアップのコワーキングのためのスペースやコミュニティイベント専用のミートアップスペースなどが設けられるようです。
SVAIを通して、Snowflakeはコミュニティのコラボレーションとイノベーションを支援しようとしてるとのことでした。

まとめ
開催3日目なので新しい機能の紹介はありませんでしたが、Snowflakeに関わる開発者コミュニティの重要さやもう無視できなくなっているAIの取り組みをSnowflakeはどのように支援して加速させるのか、について語られていました。
私自身も一開発者としてAIでの取り組みを加速させていきたいと刺激を受ける内容で、今後もSnowflakeは要注目ですね!
※Builders Keynoteで紹介されたコードやプロジェクトは次のページにまとめられています。
https://snowflake.com/en/summit/resources/developers/?utm_source=snowflake&utm_medium=qrcode&utm_campaign=summit25builderkeynote
DATUM STUDIOは、クライアントの事業成長と経営課題解決を最適な形でサポートする、データ・ビジネスパートナーです。
データ分析の分野でお客様に最適なソリューションをご提供します。まずはご相談ください。
Contact
関連記事