Snowflake 

Snowflake Summit 2025 最速レポート2日目⑦
-セッション解説 マリオットグループにおけるデータクリーンルーム活用編-

DATUM STUDIOの西川です。
現在サンフランシスコで開催中の「Snowflake Summit 2025」Day2のセッションの内容を紹介します!

はじめに:「クリーンルーム」とはなにか?

“ホテルの部屋は清潔であるべき…でも今回は、もっと抽象的な「部屋」の話です。”

ユーモアを織り交ぜたオープニングトークは、まさに海外プレゼンならではのスタイル。Marriott社の登壇者の話し方に、文化の違いとプレゼンの巧みさを感じました。

データ活用に関わっている皆さんは「データクリーンルーム」と聞くと、広告やマーケティング分野での利用が真っ先に思い浮かぶかもしれません。
しかし、世界最大級のホテルチェーンであるMarriottは、クリーンルーム技術をその枠にとどめず、パートナーシップのあり方そのものを再構築する基盤として活用しています。

本記事では、Snowflake Summit 2025で語られたMarriott社のプレゼン内容をもとに、同社のクリーンルーム活用のユニークな視点と技術戦略をご紹介します!

データクリーンルーム活用の背景

一般的に、データクリーンルームを活用する企業には次のような背景がありますが、世界144カ国以上で30以上のブランドを展開するMarriottグループも同様です。

  • ・GDPR、CCPAなどによるプライバシー保護規制の強化
  • ・3rd Party Cookieの利用規制
  • ・顧客接点の多様化と断片化

また、Marriott社は、航空会社、エンタメ業界、日本国内だと楽天など、業種横断のパートナーと顧客体験を共創しており、このような関係性の中で、安全・高速かつ、繰り返し使えるデータ連携の仕組みが求められていました。

Marriottのユニークなデータクリーンルーム活用例

  1. 1.会員プログラム間の「重複分析(Overlap)」
    Marriott Bonvoyの会員データと、ある航空会社やリテールパートナーの顧客データをクリーンルームで突合。個人情報を開示せずに「どれくらいの人が両社を利用しているか」を把握し、共同プロモーションの意思決定に活用。

  2. 2.高精度なターゲティング広告配信
    Google Ads やMetaなどの広告ネットワークにクリーンルーム経由でセグメントを直接連携。これにより、従来比で約10〜20%も精度が高いセグメント配信を実現。さらにパフォーマンス測定も同環境で完結

  3. 3.クロスブランドの会員獲得施策
    飲料メーカーとの施策では、Marriott会員にそのブランドをレコメンドするとともに、飲料メーカーの顧客にもMarriott Bonvoyへの加入を促す。双方向の相互送客をDCRを通じて実現。

技術の裏側:信頼性と拡張性の確保

このような活用を可能にした仕組みとして、Snowflakeの各種データシェアの機能や具体的なオペレーションにも言及されていました。

  • ・安全性の設計
    • ・SnowflakeのSecure Shareをベースに、物理的なデータ移動なしで共有
    • ・事前定義されたSQLテンプレートのみ実行可能な制御付き分析
  • ・ID解決のアプローチ
    • ・初期は、ハッシュ化されたメールアドレスでの照合
    • ・現在は、LiveRampなどのIDプロバイダーと連携してより高精度かつ、匿名性の高いマッチングを実現
  • ・運用の工夫
    • ・ユーザーが自らクリーンルームを立ち上げ、データ準備・クエリ実行・終了まで一貫して行えるセルフサービス設計
    • ・70%のユースケースに即応できる標準データセットを準備し、残りは柔軟に拡張対応

まとめ

「ホテルの部屋と同じように、データもクリーンであるべき。」Marriottはそのシンプルな考えをSnowflakeを活用して実現しました。

データを守るだけではなく、成果につなげた事例として非常に参考になるものでした。

今後、企業間でデータを共有した新たなビジネスモデルが生まれるそのとき、Marriottのような取り組みが一つのヒントになるかもしれません。

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