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Snowflake Summit 2025 最速レポート1日目③Unifying Transactional and Analytical Data in Snowflake with Unistore

本セッションでは、Unistoreの「ハイブリッドテーブル」の新機能と事例について紹介されました。また教育NPOである「Project Lead The Way」による事例発表は、Unistoreの実用性とインパクトを示すものでした。本記事ではハイブリッドテーブルの利点やユースケースについてまとめたいと思います。

Unistoreが活用される3つの主要領域

Unistoreのユースケースとして挙げられている3つの領域があります。

1. Metadata & State(メタデータと状態管理
システムの構成情報や処理状況など、状態を保持・更新

2. Data Serving(データ配信・提供)
エンドユーザーやサービスへのリアルタイムデータ提供

3. Lightweight Transactional Applications(軽量なトランザクションアプリケーション)
小規模ながら高頻度な更新や挿入が求められるアプリケーション

またUnistoreの新機能として、次の5点が挙げられます。

1.パフォーマンスの向上
クエリ処理とプランキャッシュの最適化により、一部の顧客クエリにおいて最大15倍のレイテンシ改善を実現

2.高速かつコスト効率の良いバルクロード
初期ロード(CTAS、COPY、INSERT)において、最大10倍のパフォーマンス&コスト効率向上を達成

3.容量上限の拡大
1データベースあたりの標準ストレージ上限が2TBに拡大。リクエストによりさらに増加可能

4.継続的バックアップ/リストア
Time TravelやClone Databaseを利用した高度なデータ保護・復元が可能

5.可観測性とモニタリング
[PuPr] Grouped Query History UIによるクエリ履歴の可視化と分析が可能

またプライベートプレビューにて下記の紹介もされました。
ハイブリッドテーブルは、SnowflakeのTri-Secret Secure(TSS)暗号化モデルに対応する予定です。これによりSnowflakeが管理するキーと顧客が管理するキーを組み合わせた複合マスターキー(Composite Master Key)を用いて、より高いレベルのセキュリティを実現します。

Tri-Secret Secureでは次のようなメリットがあります。

1.セキュリティ強化
Tri-Secret Secureによりデータ保護の制御とセキュリティレベルを向上

2.法規制対応
規制産業におけるコンプライアンス要件を満たすための設計

3.一貫したセキュリティポリシーの維持
レイテンシが低いトランザクションワークロードにも対応する堅牢なセキュリティ体制を実現

また、Azure環境でもUnistoreが利用できるように開発が進められています。

Project Lead The WayにおけるUnistoreの活用事例

セッションの最後にはProject Lead The Wayに関する事例が紹介されました。
この団体は、幼児教育(PreK)から高校卒業までの生徒を対象に、教育を中心としたカリキュラムを提供しています。これまでに10万人以上の教師に対して研修を実施し、質の高い教育の普及に努めてきました。生徒は教室内で学んだ知識やスキルを実際の社会課題に応用する力を育んでおり、単なる知識習得にとどまらない現実世界の問題解決能力を身につけています。

Project Lead The Wayは、Snowflakeの初期導入企業として、2018年に本番稼働を開始しています。現在では、組織全体の約70%がSnowflakeのデータを活用しており、組織全体に広く浸透しています。同社ではERP(基幹業務システム)、CRM(顧客管理)、マーケットプレイス、地理空間データなど、20種類以上のデータソースをSnowflakeに取り込み、多様な情報を一元的に活用できる基盤を構築しています。

その中でも特に大きな成果を上げているのが、ログデータの一元管理と活用です。
従来、Project Lead The Wayでは役割に応じて、複数の取り込み方式を併用してログを収集していましたが、現在はSnowflakeへのログ統合を進め、さらなる効率化と高度な分析を実現しています。

Snowflakeへのログ統合のメリット

1.既存のSnowflake接続をそのまま活用可能
新たなインフラやツールを導入する必要なし

2.新しい技術は不要
導入・運用のハードルが低く、すぐに始められる

3.すべてのログを1か所に集約
データのサイロ化を解消し、統合管理が可能に

4.高度なログ分析が可能に
データ活用の幅が広がり、パフォーマンスや異常検知にも応用可能

5.データバリデーションやDMF(data metric functions)との統合
品質管理や運用フローとの連携が容易

Project Lead The Wayは、SnowflakeのHybrid Tablesを導入することでログの挿入時間を約90%短縮しました。これにより、ログのリアルタイム処理が可能となり、運用効率とシステムの応答性が大きく向上しました。分析とトランザクション処理の統合も進み、データ活用の柔軟性が高まりました。限られたリソースでも高品質なログ基盤を実現しています。

Unistoreを活用することで、Project Lead The Wayでは日々平均33,000件のログを自動で取り込み、業務効率を大きく向上させています。また従来の分析用テーブルと比較して、ELT処理にかかる時間を1日あたり2時間削減し、さらにログ指標の活用によって年間11%のコスト削減も実現しました。Hybrid Tablesは、単なるパフォーマンス向上にとどまらず、時間とコストの両面で大きな効果をもたらしています。

まとめ

Unistoreがもたらすトランザクションと分析の融合というビジョンがいよいよ現実のものとなりつつある今、翌日以降に控えているさらなる発表にも期待が高まりました!

今後の展開が非常に楽しみです。

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