Snowflake 

Snowflake Summit 2025 最速レポート1日目①
- Opening Keynote-

DATUM STUDIOの西川です。
現在サンフランシスコで開催中の「Snowflake Summit 2025 」のオープニングキーノートについて、紹介します!

はじめに

「Snowflake Summit 2025」が今年も開幕しました!

今年はOpenAIのCEOであるSamuel Harris Altman(サミュエル・H・アルトマン)氏が基調講演に登場し、会場の注目を集めました。

SnowflakeのCEO Sridhar Ramaswamy(スリダール・ラマスワミー)氏との対談では、「AIはもう、あなたの“同僚”になる」という刺激的なテーマのもと、AIとデータがビジネスの現場をどう変えていくのか、熱い議論が交わされました。

今回のサミットは、500以上のセッション、200社以上のパートナー企業が参加する過去最大規模。AI時代のデータ活用を一足先に体感できる場として、大変な盛り上がりを見せています。

ここからは、注目の基調講演を含むSnowflakeのCEO Sridhar Ramaswamy氏のプレゼンテーションをギュッとまとめてお届けします!

1.開幕、データでより多くを実現するために

Snowflake Summit 2025は、従来にも増して壮大なスケールで開催されました。会場に集まったのは、あらゆる業界からやってきた数千人もの参加者たち。目的はただ一つ、「データでより多くを実現する(Do More With Data)」という共通の志を持ち、学び合い、未来を構想することです。

サステナブルなイベントの実践

基調講演の冒頭では、環境への配慮が強調されました。運営側からは以下のような行動が推奨され、イベント全体が持続可能性に配慮した設計であることが示されました。

  • ・再利用可能なSnowflake製の水筒の配布と使用の呼びかけ
  • ・食事は「必要な分だけ」を取ることの促進
  • ・手を付けなかった食材は、地元フードバンクへの寄付
  • ・ホテルにおけるリネンプログラムへの参加と節水協力

単なる“技術カンファレンス”ではなく、「地球と共に未来を築く」姿勢が感じられる内容でした。

Snowflake CEO Sridhar Ramaswamy(スリダール・ラマスワミー)氏からのメッセージ

Snowflake CEO Sridhar Ramaswamy(スリダール・ラマスワミー)氏は「Datanation(データの国)」と呼びかけながら、集まった参加者たちに歓迎の言葉を送りました。

「これは、単にテクノロジーを学ぶ場ではありません。データとAIを中心とした文化を共に築く場なのです。」

さらに、今年のSummitはSnowflake史上最大規模で開催され、参加者同士のつながりや共創を重要視している点が強調されました。

  • ・522の公式セッションのうち、482が参加企業や開発者による発表
  • ・世界中のあらゆる業界のメンバーが、実践的な知見を共有するために集結
  • ・開発者やパートナーの存在を「ヒーロー」と表現し、共に前進する意思を再確認

2.Crunchy Data(クランチーデータ)の買収とPostgresの統合 ― Snowflakeの新たな戦略

オープンソースPostgreSQL(Postgres)技術のリーディングカンパニー「Crunchy Data」の買収を発表しました。

Postgresの柔軟性とSnowflakeの拡張性を融合

この発表は、Snowflake CEOのSridhar Ramaswamy氏による次の言葉から始まりました。

「SnowflakeはCrunchy Dataを買収し、Postgresの世界をSnowflakeに統合します。」

この統合により、従来のPostgresが持つ以下のような特徴を活かしながら、Snowflake独自の強みを付加していく方針が明確に示されました。

  • ・Postgresの親しみやすさとオープン性
  • ・Snowflakeのセキュリティ、スケーラビリティ、ガバナンス機能
  • ・開発者ファーストな設計思想の継承

これにより、開発者はPostgresのAPIやSQLエクスペリエンスを維持したまま、Snowflake上でより高速かつ、安全にアプリケーションを構築できるようになります。

すべての業界で「データでより多くを実現する(Do More With Data)」世界へ

このセクションでは、Postgres統合は単なるデータベース拡張ではなく、「Snowflakeのプラットフォームをより多くの開発者が活用できるものにする戦略の一環」であることが強調されていました。

特に強調されたのは以下の点です。

  • ・Postgresは、オープンで拡張可能なエコシステムを持ち、AIやアプリ開発と相性が良い
  • ・今後、SnowflakeはPostgresへの継続的な投資を通じて、さまざまな業界で活用をさらに促進
  • ・ガバナンスやパフォーマンスを保ちながら、「選ばれるプラットフォーム」を目指す

3.超高速取引の裏側 ― ニューヨーク証券取引所のデータ活用

このセッションでは、The New York Stock Exchange(NYSE)グループの社長であるLynn Martin(リン・マーティン)氏がステージに登壇し、Snowflakeとの6年以上にわたる協業の成果と、データを活用した金融市場運営の最前線について紹介しました。

圧倒的なスケールとリアルタイム性

Lynn Martin氏は冒頭、自らを「データドリブンな人間」と紹介しながら、NYSEの運営における膨大なデータ処理量について語りました。

  • ・2022年のピーク時には、約3500億件/日の注文メッセージを処理
  • ・それが2025年現在では、約1.2兆件/日という新記録を達成
  • ・データ量の爆発的増加に伴い、取引の透明性とリアルタイムリスク管理が極めて重要に

データの統合とAI活用

NYSEは単に膨大なデータを保有・処理しているだけではありません。Snowflakeと連携することで、エコシステム全体でのデータ統合とコラボレーションが可能になりました。

  • ・社内外の関係者がリアルタイムにデータへアクセスし、意思決定を迅速化する
  • ・AIを活用して注文フローの最適化、異常検知、市場の安定性向上に寄与する
  • ・システム全体の「透明性」と「信頼性」の双方を向上させる

金融市場の未来像を支える技術

このセッションの核心は、次のような強いメッセージにありました。

「我々はただ取引を支えているだけではない。市場の信頼そのものを技術で守っているのです。」

Lynn Martin氏は、これからの金融市場において、データとAIを活用した運営が“新しい常識”になることを強く示唆しました。

4.AIの未来と向き合う ― Sam Altman × Sarah Guo 対談

Snowflake Summit 2025の中でも最も注目を集めたセッションの一つが、OpenAI CEO Samuel Harris Altman氏と、Convictionの創業者・Sarah Guo(サラ・グオ)氏による対談でした。ここでは、AI導入に関して経営層へのアドバイス、最新のモデル動向、そしてAGI(汎用人工知能)についての見解が語られました。

企業リーダーへのメッセージ:「迷うより、始めよ」

Samuel Harris Altman氏は2025年の企業におけるAI導入について、次のように明快なメッセージを発信ました。

「まだ導入していないの? “Just do it.” 変化が激しい今こそ、素早く動いて早く失敗し、そこから学ぶ企業が勝つ。」

技術革新が急激に進む中で、「完全な準備を待ってから導入」するアプローチは時代遅れになりつつあるという警鐘を鳴らしました。

学習速度と試行コストの最適化

Sarah Guo氏もこれに同調し、以下のような考え方を提示しました。

「コストの低い試行を繰り返すことで、高速な仮説検証サイクルを回すことができる企業が競争優位に立てる」

従来の業務の前提を「当然のもの」として捉えず、“問い直す姿勢”と“実験精神”が重要 であり、Google の実験のように、「小さく早く試しながら価値を積み上げる」ことがAI活用の鍵となります。

このセッションでは、早期導入 → 反復学習 → 最適化というプロセスが、AI時代の企業運営の“黄金ルール”であることが明確に示されました。

AGI(汎用人工知能)と未来への展望

会話はさらに深まり、話題はAGI(Artificial General Intelligence)にも及びました。

Samuel Harris Altman氏は、「AGIの到来は確かに時間がかかるが、“いずれ起こる未来”として準備を始めるべき」とコメントしました。

企業側の問いとしては、「AGIが来たときに何が変わるか」ではなく、「その時、自社がどう変化していられるか」を設計することが重要。

5.世界最大のスポーツイベントへ ― オリンピック×Snowflake

Snowflake Summit 2025で発表された中でも特に象徴的だったのが、LA28(ロサンゼルスオリンピック・パラリンピック)とのパートナーシップの発表です。Snowflakeが、オリンピックの公式「データ・コラボレーション・パートナー」となることが明かされました。

データで世界をひとつに

Snowflakeはこの協業を通じて、選手、ファン、スポンサーをまたいだシームレスなデータ共有基盤を構築していく予定です。ステージには次のキーパーソンが登壇しました。

  • ・LA28 組織委員会 会長:Casey Wasserman(ケイシー・ワッサーマン)氏
  • ・USオリンピック・パラリンピックプロパティ CEO:John Slusher(ジョン・スラッシャー)氏

彼らは次のように述べました。

「LA28は、史上最もデータドリブンなオリンピックとなる。」
「選手のパフォーマンス、観客体験、運営すべてがデータによって強化されます。」

オリンピックは「民間主導」だからこそ意味がある

このセッションでは、アメリカ国内におけるオリンピックの運営が、完全に民間資金によって支えられていることが強調されました。そのため、Snowflakeのような民間企業による支援は「競技の成功に直結するリアルな貢献」となります。

「2028年、ロサンゼルスでアメリカ代表選手が活躍する姿の背後には、Snowflakeの支援がある。」

贈り物と感謝のセレモニー

スピーチの後半では、両者のパートナーシップを象徴するセレモニーも実施されました。

Snowflakeからは「カスタムスノーボード」が贈られ、LA28側からは「LA28モデルのNikeスニーカー」が贈られました。

この演出は、両者の結びつきが単なるビジネスパートナーではなく、「ビジョンを共有する仲間」であることを印象づけるものでした。

6.まとめ

Snowflake Summit 2025 のオープニングキーノートは、「Do More With Data(データでより多くを実現する)」というメッセージのもと、圧倒的なスケールで幕を閉じました。

オープニングのサステナブルな取り組みから始まり、Crunchy Data買収によるPostgres統合、ニューヨーク証券取引所の事例、OpenAIとの対話、そしてオリンピックとのパートナーシップに至るまで、そのすべてが一貫して、「データが企業と社会をどう変えていけるか」という本質的な問いに向き合っていました。

2日目以降も新機能の説明やユーザー事例など、多くの注目セッションが予定されています。明日以降の現地レポートもお楽しみに!

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