Snowflake Summit 2026 レポート 最終日「AIエージェント時代の開発」 | DATUM STUDIO株式会社
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Snowflake Summit 2026 レポート 最終日
「AIエージェント時代の開発」

はじめに

こんにちは、Snowflake Summit 2026というお祭りが終わって、寂しさを感じているDATUM STUDIOの岩田です。

最終日は、開発者向けのイベントであるDev Dayに参加しました。

会場は朝からほぼ満席で熱気に包まれ、Snowflake CEOのSridhar Ramaswamy氏と、OpenClawの作者でありOpenAIに所属するPeter Steinberger氏によるトークセッションがありました!

今回のセッションで特に印象的だったのは、AIエージェントが「コードを書く便利ツール」から、開発・検証・運用の進め方そのものを変える存在になりつつある、というメッセージです。単に生産性が上がるだけでなく、これまで人間が手作業していたレビュー、検証、反復改善のループを、どこまでエージェントの中で完結させられるかが、大きなテーマになっていました。

AIエージェントが変える「作る」体験

Snowflake CEOのSridhar Ramaswamy氏は、セッションの冒頭で「今日は、皆さんのための日です」と語り、AIによってアイデアから実装までの距離が大きく縮まっていることを強調しました。

これまでは、ちょっとした自動化やツールを作るだけでも、設定ファイル、環境構築、細かな実装上の調整が大きなハードルになっていました。

しかし今は、コーディングエージェントやハーネスの進化によって、そうした複雑な作業の多くをAIが支援できるようになっています。
Ramaswamy氏は、Snowflake社内でもエージェントを活用した開発・レビューのワークフローを広げていると話しており、AIを「別枠の実験」ではなく、実際の開発プロセスに組み込む流れが強く感じられました。

  • ポイント(1):
    AIは単なるコード補完ではなく、複雑なタスクを「長い時間軸で進める(long-horizon agent)」へ進化している。
  • ポイント(2):
    開発者は自分一人で作業するのではなく、複数のエージェントを率いる、テックリードのような役割に近づいている。
  • ポイント(3):
    Snowflakeとしても、Cortex CodeやSnowflake CoWork(旧・Snowflake Intelligenceとして紹介されてきた領域)などを通じて、企業データやガバナンスと接続したAI活用を進めている。

補足:Snowflakeの公開情報によると、Cortex CodeはSnowflake環境(データ・権限・スキーマなど) を理解したAI駆動のエージェントとして位置づけられており、データエンジニアリング、分析、機械学習、エージェント構築などを支援します。加えて、Snowsight、デスクトップIDE、CLIといった、複数の利用形態も案内されています。

OpenClawに見る、個人エージェントの広がり

続いて登壇したPeter Steinberger氏は、「OpenClawの作者」として紹介され(Dev Dayの案内上でも「Clawfather」と表記されていました)、AIエージェントコミュニティにおける象徴的な存在として、大きな注目を集めていました。

OpenClawは、WhatsAppやTelegramのようなメッセージングアプリからAIエージェントに指示を出し、タスクを実行させる発想から広がったオープンソースプロジェクトです。

Steinberger氏は、「少し離れた場所から、自分のコンピュータへ指示を送りたい」というもともと個人的に感じていた不便さから作り始めた、と語っていました。

面白いのは、最初から大きなプロダクトを目指したというより、小さな不満を解消するために作ったものが、画像対応などの機能追加を重ねるうちに、世界中の開発者・非開発者を巻き込むプロジェクトになった点です。

特に印象的だったのは、OpenClawの利用者が「この機能がほしい」とエージェントに依頼すると、エージェントが自分自身のコードを読み、必要な変更を行い、Pull Requestの形で提案するような流れが生まれたという話です。

従来であれば、オープンソースへの初めての貢献には大きな心理的・技術的ハードルがありましたが、AIエージェントによって、その最初の一歩がとても軽くなっているということが伝わってきました。

これまで難しかったことが、できるようになり始めている

今回のセッションで最も実務に近いテーマに感じたのが、「レビューと検証のループを、どこまでAIに任せられるか」という話でした。

Steinberger氏は、Codexのようなコーディングエージェントでレビューを実行すると、10〜20分ほどかけて本番障害につながりそうな問題を見つけることがあると紹介しました。

修正後に再度レビューをかけると、また別の問題が見つかることもあり、「どこまでやれば終わりなのか」という課題が出てきます。

そこで同氏は、レビューと修正を繰り返し、追加の問題が出なくなるまで回すような「Auto Review」に近い仕組みを作ったと話していました。

もちろん、すべてを自動で受け入れるのではなく、守るべき前提条件や設計上の不変条件は人間が定義する必要があります。それでも、長時間のレビュー・修正ループをAIに実行させることで、出荷できるコードへの信頼度を高められるという点は、非常に実践的であると感じました。

  • 以前:
    人間が何度もレビュー → 修正 → 再レビューする必要があった。
  • 現在:
    AIエージェントがレビュー → 修正案作成 → 再レビューを長時間回し、問題が出なくなるところまで近づけられる。
  • 重要なポイント:
    人間はすべての細部を手作業で見る役割から、何を守るべきか、どこまで自動化してよいかを設計する役割へ移っていく。

エンタープライズで重要になる「検証可能性」とガードレール

AIエージェントが複雑なソフトウェアを作れるようになる一方で、セッションでは「どうやって正確性を確認するのか」という点が、何度も話題になりました。
特に、非エンジニアがエージェントに複雑な開発タスクを依頼した場合、その成果物が安全で正しいかを判断するのは簡単ではありません。
Steinberger氏は、その解決の方向性として「エージェントが、自分で検証できる範囲を広げる」ことを挙げていました。
たとえば、新しいLinux、Windows、macOS環境を用意し、そこにソフトウェアをインストールして動作確認する。
さらに、ブラウザ操作やコンピュータビジョンを使って、Slackなど外部UIにメッセージが実際に表示されるところまでエンドツーエンドで確認する。
こうした検証環境を用意することで、「自分のマシンでは動く」問題を減らせます。
この考え方は、Snowflakeのエンタープライズ向けAI戦略とも相性がよいと感じました。企業が利用するうえで、AIが賢いだけでは不十分で、権限、データガバナンス、監査性、セキュリティが一体で求められます。Snowflakeの公開情報でも、Cortex AI GuardrailsがSnowflake CoWork、Cortex Agents、Cortex Codeに対するプロンプトインジェクションやjailbreak攻撃への実行時保護を提供することが案内されています。

  • 検証可能性:
    エージェントが作ったものを、エージェント自身が別環境で検証できるようにする。
  • 権限設計:
    エージェントに何を許可し、何を禁止するかを事前に設計する。
  • 人間の役割:
    AIの出力を細かく直すだけでなく、正しさを確認できる仕組みを設計する。
  • エンタープライズ要件:
    データ、権限、監査、セキュリティを、同じ基盤上で扱うことが重要になる。

「Spiky Intelligence」という見方

セッションの中では、AIエージェントを人間のように扱いすぎることについての注意喚起もありました。

Steinberger氏は、エージェントを「非常に賢い領域もあれば、驚くほど弱い領域もある、スパイキーな知性」と捉えていました。

これは実務においても重要です。セキュリティに強い視点、長時間運用したときの信頼性を見る視点、コードの正確性を見る視点など、複数の視点を組み合わせて持つことで、AIエージェントはより安全に、さらに使いやすくなります。

AIを万能な人間として扱うのではなく、得意・不得意など特性を理解して使いこなすことが、今後の開発者に求められるスキルの1つになりそうです。

Q&A:非エンジニアが使う、AIエージェントの行き先

最後のQ&Aでは、「非エンジニアは今、こうしたAIエージェントをどのように使えるのか」という質問がありました。
これに対して、ローカルのMac miniを買ってセットアップするような形は、多くの非エンジニアにとって最終形ではない、という趣旨の回答がありました。
特に、アジア圏を含む多くのユーザーにとっては、ローカル環境で動かすよりも、クラウド上で自分専用のエージェントを使える形が現実的です。ステージ上でも「クラウド上のエージェント、つまり自分専用のパーソナルアシスタントのようなもの」という方向性が示唆されていました。
ここは、今後のSnowflake CoWorkやCortex Code、Cortex Agentsのような、エンタープライズ向けエージェント体験と重なってくる領域だと感じました。非エンジニアにとっては、AIエージェントを「コードを書く道具」としてではなく、業務を前に進めるための自然言語インターフェースとして使えるかどうかが重要になります。

まとめ

Dev Dayのトークセッションを通じて、AIエージェントの活用は「便利な補助機能」から「仕事の進め方そのものを再設計する段階」に入っていると感じました。
特に、コードを書く、レビューする、検証する、PRを作る、別環境で動作確認する、といった、一連の流れをAIが担えるようになることで、開発者の役割は変わっていきます。
これからは、AIに細かく指示を出すだけでなく、AIが正しく動ける環境、検証できる仕組み、越えてはいけないガードレールを設計する力が重要になりそうです。

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