リテールのルールを激変させるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは
AI無人店舗・OMO最新事例ウェビナーレポート
2021年1月20日(水)にて、株式会社セキュア様、DATUM STUDIO株式会社、グループ会社であるSupership株式会社の3社による無人店舗運営の事例紹介やオンラインデータとオフラインデータを活用する小売流通業のDXをテーマにウェビナーを開催いたしました。
※本記事は1/20(水)に開催したウェビナーのサマリーレポートになります。
※ウェビナー全編・トークセッションは、Supershipが運営する『SuperMagazine』にてオンデマンドにてご視聴頂けます。
※ご視聴は、ページ下部にありますリンクからお申し込み頂けます。
2021年1月20日(水)14:00〜15:00
【登壇者と講演テーマ】
登壇者①
株式会社セキュア 取締役
事業開発部 部長
平本 洋輔 様
セッション1:「未来型無人化店舗 [SECUR AI STORE LAB] の裏側を語る!!」
登壇者②
DATUM STUDIO株式会社
データビジネス部
飯田 高大
セッション2:「無人店舗システムの導入によって実店舗でのマーケティングが変わる!?」
登壇者③
Supership株式会社
ソリューション開発部
宇波 真紀
セッション3:「オンラインデータ、オフラインデータを統合した次世代のストアマーケティングを実現するソリューションのご紹介」
目次
ニューノーマル時代におけるリテールDX(デジタルトランスフォーメーション)の最新事例
新型コロナウィルスの影響により迎えたニューノーマル時代では、企業活動においてデータ収集から分析・活用まで、いかに取り組むかが重要なテーマとなっております。
O2Oを取り巻く現状として、オンラインで取得した顧客データとオフラインで取得した行動データが、結合できないという課題がありました。
本ウェビナーでは、ニューノーマル時代におけるリテール企業がDXを実現するためのデータ活用やマーケティング戦略の最新事例等を紹介いたしました。
DATUM STUDIO株式会社では、データサイエンスを活用してデータを価値に変えることで、企業のビジネス課題の解決を支援しています。既存のパッケージ型ソリューションでは柔軟に対応することが難しい業界や企業特有の課題に対しても、カスタマイズAIの構築・データ分析を行っています。
ニューノーマル時代における無人店舗の取り組みと裏側
セッション1では、株式会社セキュア 平本様より、無人店舗の取り組みと今後について、「SECUR AI STORE LAB」の裏側とともにお話いただきました。
無人店舗への取り組みと狙い
平本:今、リテール業界というのは新しい取り組みが多く出てきており、新型コロナウィルスの影響もあり、加速しているのが現状ではないかと思っています。
「OMO化された店舗」、「無人化・省人化された店舗」、「AIによる店内行動分析」、「ダイナミックプライシング」など様々な取り組みがありますが、実際にこのような取り組みを経営陣の方や店舗システムの企画の方とお話する中で、共通した課題を見つけました。その課題とは、「新しい取り組みに対しての費用対効果をどう見ていけば良いのか」ということでした。今回「SECURE AI STORE LAB」の立ち上げにあたり、一般のお客様が使えるβ版店舗の立ち上げが大命題でありました。それにより、「業務の効率化」や「リアルタイムでの行動をデータ化」、「ロスを削減する」、この4つを取り組みのテーマとして掲げました。
無人店舗の取り組み内容
平本:2020年7月に新宿住友ビルにて、一般のお客様も利用できる店舗をオープンいたしました。具体的に取り組んだ内容についてご紹介します。以下は実施した店舗の概要になります。
日程:2020年7月
場所:新宿住友ビル
商品:コスメ
決済方法:顔認証決済
(クレジットカード)
※事前登録会員制
平本:こちらの店舗は会員制になっており、予めお客様のお顔やクレジットカード情報を登録していただいて、入店退店を顔認証で行う店舗になっております。決済方法も顔認証で行えるようになっており、完全に手ぶらでお買い物ができます。
また、入店時から退店までのお客様の動きを自動的にトラッキングしているため、商品を手に取り、退店ゲートに向かうと顔認証によりそのまま決済できるという仕組みになっております。
天井や商品を陳列している棚自体にもカメラやセンサーを搭載しており、その棚にどの商品がいくつ並べられているかというのをリアルタイムで確認できるダッシュボードを設けております。これにより、棚の状況をリアルタイムで可視化でき、適切な補充のタイミングがわかり、棚卸しコストを削減することができます。
こちらは万引き犯対策にも取り組んでおります。この店舗ではコスメの販売をしていますが、コスメ販売店の課題として、窃盗団による盗難・万引きが多いというお声がありました。コスメは単価が高く、換金率も高いため、まとめて窃盗団にもってかれてしまうという被害が多いです。この店舗には一定の数量を持ち去られた場合、アラートを出すという機能があります。
また、リアルの行動をデータ化し、店舗全体のヒートマップ化することで、棚ごとにどの商品が一番触られているか、棚の立ち寄り回数などを数値化し、見えるようにしました。数値化したことにより、商品や棚ごとのCTR・CVRが全部出るようになりましたので、棚の最適化といったようなことができます。
新しい購買体験として、商品棚にサイネージが組み込まれております。商品と連動しているサイネージとなっており、口コミサイトの表示や電子値札の表示がされるため、ECへの誘導も可能になっております。
またコロナ対策のために店内の人数制限を行ったり、37.5℃以上の方についてが入店制限をかけているおります。
<ウェビナー資料より抜粋>
無人店舗の課題と今後取り組むことについて
平本:課題については大きく2つありました。1つ目は、「どこまで精度を求めるのか」についてです。AIは万能ではないので、精度100%が出ないことを考慮してシステム設計や運用フローを作っていく必要があります。また精度が100%出ないものに対して、いかにリカバリーしていくかの観点を意識していく必要があります。
2つ目は、「ただの無人店舗でお客様は楽しいのか?」という点です。店舗に訪れるベネフィットを高めていかないと、運用コストを下げても売上があげないと意味がないので、お客様が店舗に訪れたときの「おもてなし」や「店舗でしか体験できない」体験の場所を作っていく必要があるという課題がありました。
ウェビナーの後半では、無人化店舗の課題に今後取り組んで具体策をご紹介いただきました。詳細についてはアーカイブ動画をご視聴ください。
<<アーカイブ動画視聴はこちら>>
無人店舗システム導入によるマーケティングの変化
セッション2では、DATUM STUDIOの飯田がレジレス店舗の事例と「未来型無人化店舗『SECURE AI STORE LAB』」で取得できるマーケティングデータについて紹介しました。
無人店舗の世界的な事例(Amazon GO と TOUCH TO GO)
飯田:海外でのレジレス店舗の事例ついて「Amazon GO」をご紹介します。以下は「Amazon GO」の概要になります。
「Amazon GO」概要
拠点:シアトル、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨークに合計26店舗
決済方法:アプリ決済(Amazon GO アプリ)、現金決済(数店舗のみ可能)
特徴:Amazonアカウントとスマートフォンアプリが必須,大量のセンサーとカメラによる購入商品の把握,生鮮食品も扱っている(Amazon Go Grocery)
飯田:入店にはAmazonアカウントとAmazon GO アプリが必要となります。決済方法は、Amazon GO アプリ通して行われますが、一部店舗では現金決済も取りいれている店舗もあります。続いて、国内の無人化店舗の事例について「TOUCH TO GO」をご紹介します。以下は「TOUCH TO GO」の概要になります。
「TOUCH TO GO」概要
拠点:高輪ゲートウェイ駅,目白駅
決済方法:Suica等の交通系IC、クレジットカード決済(現金は不可)
特徴:駅やオフィスの小さな売店などのマイクロマーケットがビジネスターゲット,重量センサーとToFセンサーによる購入商品の把握
レジレス店舗のメリット・デメリットについて
飯田:レジレス店舗のメリット・デメリットについてご紹介します。
メリット
1.「完全レジレス」という今までにない店舗の形であり、お客様の体験価値が高い
2.窃盗・万引きの防止
3.今までに取得できなかったマーケティングデータが豊富に取れる
デメリット
1.店舗に設置するセンサーやカメラなどの機器類の導入コストと運用コストが高い
2.購入した商品の返品や交換に手間がかかる
3.誤った会計が発生してしまう可能性がある
飯田:導入コストが高くなることや間違った会計が発生するデメリットがありますが、マーケティングデータが豊富に取れるという点でレジレス店舗の導入が進んでいくと思っております。最近では、大手コンビニエンスストアの「ローソン」や「FamilyMart」で一部店舗での導入を進めているところがあるそうです。
取得できるマーケティングデータについて
飯田:従来型店舗と「SECURE AI STORE LAB」の取得できるデータの比較と「SECURE AI STORE LAB」で取得できるマーケティングデータについてご紹介します。
従来型店舗で取得できた客数のデータは、POSデータから購入者数のデータしか取れませんでしたが、「SECURE AI STORE LAB」ですと入口にゲートを設けることによって店舗何名入店したかという入店客数のデータも取得可能になりました。
さらに商品データのところでは、客数のデータと同様、POSデータで購入数しか取得できませんでしたが、「SECURE AI STORE LAB」では、商品の接触数も取れるようになりました。さらに、入店客数のデータの取得が可能になったため、商品ごとの接触率(CTR)・購入率(CVR)も取れるようになりました。
顔属性データでは、従来型店舗だとアプリなどに登録した属性データのみでしたが、AIのカメラ機能を活用して実際の年齢や性別・表情もデータとして取得することが可能になりました。
また、商品棚のデータでは、追跡型のセンサーを設置したことで、従来型の店舗では取れなかったような棚毎の立ち寄り数や接触数のデータが取れるようになりました。
<ウェビナー資料より抜粋>
ウェビナーの後半では、取得したマーケティングデータの具体的な活用方法についてご紹介しました。詳細についてはアーカイブ動画をご視聴ください。
<<アーカイブ動画視聴はこちら>>
オンラインデータ、オフラインデータを統合した次世代のインストアマーケティングを実現するソリューションのご紹介
セッション3では、グループ会社であるSupership株式会社より、無人化店舗・一般的なリアル店舗でも活用できるソリューションを紹介いたしました。
店頭コミュニケーションに関する課題
宇波:商業施設のマーケティング担当者様やメーカー様から店頭コミュニケーションに関する分析や施策について課題感を感じているとお声をいただきました。
分析に関する課題感
・店舗にご来店いただいたお客様の行動や背景の部分をデータで可視化することができない
・オンライン上で実行した施策が実際にどのくらい来店に寄与したのかデータでわからない
・オンターゲット率をデータで可視化したい
施策についての課題感
・リピーターを増やすためのオンライン上の施策を打ちたいが、現状店舗に来店された方に関するデータを取得する術がないため、施策が打てない
・オンラインと店舗の連動企画を実施するためのデータを取得したい
・店内が密にならないように集客状況や店内の動線をコントロールしたいが、そのデータを集める方法がないため、現場の店員によるオペレーションのみに留まってしまっている
・店頭で実際に商品を接触された方に向けて、オンラインでコミュニケーションを実施したいが、店頭でデータを取得する術がない
・棚の場所を大きく取る施策として、店頭や棚の前に集客可能な施策を自社の経費を使って実行したいが、その商業施設と共同で施策を実行するにあたり、どのようなやり方で進めていけばいいかわからない
宇波:いずれの課題は、オンラインデータとオフラインデータが分断されていることによって起こってしまっている事象となります。
次世代のストアマーケティングの実現
宇波:店頭コミュニケーションに関する分析や施策に関する課題を解決するため、分断されたオンラインデータ、オフラインデータをひとつのIDに統合し次世代のストアマーケティングを実現するソリューション「One Data Marketing Platform」を開発しました。
現状、オンラインデータとオフラインデータが分断されてしまっている状態です。オフラインデータに関しては、データを取得する術がない店舗の方が多い状況かと思います。「One Data Marketing Platform」を導入することで、店舗にオフラインデータが取得できるセンサーを設置し、Wi-Fiの電波による店内の動線データやBluetoothと通じて来店された方のオンラインデータとつながるIDの取得を行います。紐付けるオンラインデータとしては、KDDIやSupershipが保有している属性データやwebの行動履歴、検索キーワードなどがあり、それらとオフラインデータを1つのIDにマッチングさせることによって、店内データの可視化や広告施策への活用が可能になります。
提供領域としては、消費者様が店舗へ買い物に行き、買い物をして帰るというファネルを横断して支援するものとなっております。取得できたデータを分析し、その結果をもって、店舗の商圏に向けてデジタル広告の配信。店舗に設置しているセンサーによって、配信したデジタル広告の効果計測の可視化を支援できます。さらに店内の動線解析というところで、入店から商品棚の前を通ってレジに到達したデータを動線で可視化することができ、店内の棚の改善やレイアウトの改善も可能となっております。
<ウェビナー資料より抜粋>
OMOソリューション「One Data Marketing Platform」の主な活用シーン
宇波:「One Data Marketing Platform」主な活用シーンについて、3つご紹介します。
1:新規顧客の獲得
商圏内の通勤者や居住者へオンラインで広告を配信し、センサーで広告配信によってどのくらいの方が来店されたかどうかを可視化することができます。
2:リピーターの獲得
一度店舗に来店された方をセンサーで補足し、その方に向けたリターゲティング広告配信を行います。センサーを用いてリターゲティング広告によって再来店された方を捕捉することで、施策の実行と効果測定の可視化が可能となります。
3:購買単価の向上
センサーデータを活用することにより、この顧客はロイヤルカスタマーであるという判別が可能です。ロイヤルカスタマーと判別された顧客にクーポンの配布や特別なオファーを出すなど、その顧客にあわせた施策が打てるため、購買単価向上につなげる策にも活用いただけます。
店舗のニューノーマルな活用シーン
宇波:コロナ禍に対する有効的な活用シーンについて2つご紹介します。
1つ目が「集客コントロール」です。センサーによって、時間帯別の混雑状況や集客状況をデータで可視化することができます。統計化されたデータに対し、状況に応じた施策を打つことができます。
2つ目が「動線コントロール」です。店内で混雑するエリアと混雑しないエリアを判別することにより、混雑している区間をお知らせすることや動線の改善を行うことによって、集客状況をコントロールするといった活用方法もあります。
<One Data Marketing Platformの詳細とお問い合わせはこちら>
DATUM STUDIOはAIやOMOソリューションの活用などリテールDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入支援を行っております。
リテールDXには様々な課題が存在し、これらの課題に対して、いまなお様々な取り組みが行われています。汎用的なAIでは現場課題を解決するのは難しく、最適なAIモデル構築が必要となります。DATUM STUDIOは、経験豊富なデータサイエンティストが機械学習、深層学習(Deep Learning)の知見を活用し、様々な企業のリテールDX×AI導入を支援いたします。
ウェビナーでは、レポートでご紹介したセッションのほかに、共催のセキュア株式会社様・Supership株式会社・DATUM STUDIOの3社によるトークセッションも公開しました。
ウェビナー全編・トークセッションをご視聴されたい方は以下フォームよりご視聴可能です。
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