データ分析を強みとする上場企業各社の決算まとめ

データ分析を強みとする上場企業7社(※1)の7-9月期決算が11月、出揃った。

企業の本業の成果を判断する指標である営業利益率は、UBICとフリークアウトを除く5社でマイナスとなった。

各社自らの立ち位置を確立するべく買収や業務提供を実施してきたが、少しずつ基盤が整い、サービスとして展開し始めた印象。それぞれの強みがはっきりとしてきた。

スクリーンショット 2015-12-07 21.30.42

 

□UBIC
今期、過去最高の売上高を記録したUBIC。ホスティング事業の売上の上昇と、eディスカバリコンサルティング(リーガル分野)の受注増が目立つ。

特に人工知能を応用させるeディスカバリコンサルティングでは、7-9月期(Q2)にして昨年度の合計受注を上回る結果となった。背景には8月に実施したエヴォルヴ・ディスカバリー社の子会社化が挙げられ、アメリカ西海岸のクライアントからの売上を大幅に増大させた。

同社は、マーケティングやITサービスに活用させるための解析プラットフォームを7月に、社内に保有するコミュニケーションデータを解析し情報を自動検知するビッグデータ分析支援システムを10月に提供開始。リーガル分野で培った強みである人工知能を他分野に応用させ展開している。

スクリーンショット 2015-12-07 21.01.43

 

□ ブレインパッド
ソフトウェアのライセンス提供とシステム開発を行う「ソリューション事業」、分析技術を利用した自社開発のSaaS型サービスを提供する「マーケティングプラットフォーム事業」では増収だが、データ分析・コンサルティングサービスの「アナリティクス事業」では減収。

過去3年最低の売上で、顧客数も前四半期では60社の売上計上があったが当期は37社へと減少。これまで順調に受注を伸ばしてきただけに、当期の受注減は目立つ。

一方、マーケティングプラットフォーム事業の売上は順調に伸長。SaaS型サービスの月額利用料のようなストック売上の安定に加えて、新規受託開発案件によるフロー売上が大きく乗っかった。

同社は1年前と比して26名の人材採用を実施。特に「マーケティングプラットフォーム事業」(+11名)と「営業・マーケティング」(+7名)では積極的に人員を増やした。また、成長回復に向けて新たに経営方針を設定。IoT領域の拡大、デジタルマーケティングの強化、中小事業対象のSaaS提供の3点を掲げている。

スクリーンショット 2015-12-07 21.01.51

 

□ホットリンク
ソーシャルメディアに強みを持つホットリンク。米国のテクノロジーベンチャーで、ソーシャルメディアデータの収集・提供を行うEffyis社の買収によって2015年より大幅増収させた。

ホットリンクは、ソーシャルビッグデータ業界での地位確立を目指し、米国や中国などのソーシャルビッグデータ販売を展開。特に中国インバウンド消費に特化したレポートの販売も好調。しかし、買収後は損失が続いている。

スクリーンショット 2015-12-07 21.02.03

 

□データセクション
データセクションは、ソーシャルビッグデータや為替やダウなどのマクロデータを活用する「ビッグデータファンド」を8月、ファイブスター社に提供開始。純資産額は22.0億円からスタートし、10月30日には26.2億円の運用残高と効果を見せる。

共同通信グループとの業務提携も開始し、さっそく、ソーシャルメディア分析による情報通知システムを協業で開発。注目を集めている。

上場後、9月期までに新規人員を22名採用。下期以降で新規ビジネスの収益化を目指している。

スクリーンショット 2015-12-07 21.02.12

 

□ALBERT
7-9月期に大きく営業損益を計上したALBERT。業績予想の修正について同社は、クライアントの企業規模の拡大による案件規模の大型化を背景に9月中の受注には至らなかった案件があった点、また、外注の開発を内製にシフトする上で、引き継ぎのための二重コストが生じた点から説明。社員の採用は順調とのこと。

「データサイエンスアワード2015」でファイナリストに残るなど、分析力への評価が高い同社。新規事業として、ディープラーニングを用いた画像データの解析と自動的にタグ付けを自動化するサービスを提供開始。主にアパレルのECサイトでの活用を見込む。

スクリーンショット 2015-12-07 21.02.22

 

□サイジニア
2014年の12月にマザーズ上場し、2015年4-6月期(Q4)に過去最高益を達成したサイジニア。しかし、7-9月期の決算では赤字計上。株式上場に伴う経費の増加、営業外費用に上場費用1,300万円が発生したことが理由と考えられる。

インターネット広告事業で受注件数を増やす一方、注力していた実店舗における消費者に最適な商品をタブレットで案内するサービスの積極的な開発・販売を一旦見送り。

役員で前オムニチャネル事業部長の木戸貫司氏が11月に辞任し、社長の吉井伸一郎氏が同事業部長を兼任。今年9月に同社が取得した、個人の嗜好に合わせてパーソナライズされたレコメンデーション情報をプリンターから出力する技術に関する特許をパートナー事業者と共に活用。オムニチャネル関連事業には今後も力を注ぐようだ。

スクリーンショット 2015-12-07 21.02.32

 

□フリークアウト
4-6月期に子会社の経営赤字の影響を受け、子会社の事業休止。7-9月期では黒字に戻り、DSPやソーシャル関連広告で最高売上を達成。

2015年1月から注力してきたネイティブ広告の成長も順調。提携メディア数、受注金額も順調に推移していて、今後は投資フェーズから収益獲得フェーズに入ると宣言している。

同社は既存事業を徐々に拡大させていく方針。プライベートDMPサービスに、スマートフォンのGPS情報を管理する機能を追加し提供を開始。すでに搭載しているBeacon機能とあわせて、より高精度なデータが取得可能に。企業のオムニチャネル施策の中での活用を期待する。

スクリーンショット 2015-12-07 21.02.40

 

□終わりに
各社の業績を比較してみると、直近上場した「デ—タセクション」「ALBERT」「サイジニア」3社の業績悪化が目立つ。
しかし、各社独自の強みを生かし、新しい取り組み・サービスにチャレンジしていく姿勢が伺えた。
今後のご成長に、期待をさせていただけますと幸いです。

(※1) 弊社の独断による選定です。